☆☆☆ 少女アリス ―――理不尽ファンタジー、倒錯と錯覚の世界。
★☆★ 童話の法則について ★☆★
童話には、唯一にして、絶対の法則がある。 ・それは、自分の役割を果たすという事と、物語の進行を妨げてはならないという事。 ・そして、物語の進行を妨げることは、決してしてはいけない、一番の重罪に当たるという事実。 物語には物語の決まりが存在する。 ・まず、主人公は責任が一番重いということ。 ・次に、悪役は決して、何があっても指定されたこと以外の悪事はしてはならないということ。 ・そして、誰ひとりとしても、自分の思い通りに動いてはならないということ。 一人が破れば、皆が破り出すこの決まりは、物語の進行を見守る読み手の存在によって、辛うじて保たれている。 しかし、その目を盗み、好き勝手にする者がいるのも、また事実。 そこで、登場人物たちは考えた。 誰かが、それを見張ればいいのではないか、と。 その意見がでた瞬間、どこからともなく主人公に特権が与えられた。 主人公には、他の正しくない登場人物たちを、強制的に罰し、そして更正する権限が与えられたのだ。 だから秩序の乱れ、物語の変化し停滞した世界でアリスは一人、ルールに則って、正式に元の童話の世界を取り戻そうとしているのである・・・。 ≪本編へ≫